#2 COFFEE

COFFEE
Oda Sakunosuke
Osaka no yūutsu

Osaka’s practical coffee used as a sleeping aid

コーヒー 
織田作之助
「大阪の憂鬱」

睡眠剤にも使用される大阪の実用的なコーヒー

出典:青空文庫「大阪の憂鬱 織田作之助」「織田作之助「大阪の憂鬱」図書カード

使用した音素材
ジングル:OtoLogic(https://otologic.jp) BGM:DOVA-SYNDROME-Vanilla by おしょう

1.鑑賞のタスケ 「大阪の憂鬱」

読書は人によって読み方や感じ方、受け取り方も違います。
わたしはこのように読みました。皆さんはどのように読みますか。

 トークの流れ&キーワード 1)-2:40   

1)「大阪の憂鬱」について
  ▶4章からなる雑文(ざつぶん)、大阪のはなし
   ・雑文:専門的ではない気軽に書き流した文章

  ▶第2次世界大戦後すぐの大阪が描かれている
   ・・・筆者・織田作之助(おださくのすけ)さんが 1947年になくなっている。
   ・・・文中に「敗戦後(はいせんご)」ということばがある。

  ▶京都(戦争で焼けなかった)との対比
   大阪:薄汚い旦那 
    -京都:大阪と別れてますます美しく、華やかに、生き生きと若返った女性
   大阪の闇市場で売っている蛍(ほたる)
    —京都でタダで(無料で)飛んでいる蛍を
     わざわざ大阪から捕まえに行って闇市で売る惨(みじ)めさ
  ➜織田さんが大阪の人、自分を客観視できている

  ▶頼(たの)もしい大阪、哀(あわ)れな大阪

  ▶第1章でのキーワード
   ①「大阪」②「憂鬱(ゆううつ)」③「コーヒー」④「実用的(じつようてき)」
   この4つのキーワードが
   最後に「実用的大阪」ということばによって、1つに繋がる。

  ▶「実用的大阪」
    =「味も香りもない大阪」(これをキーワードを使って説明していく。)
  

 トークの流れ&キーワード 2)2:40-5:05   

2)キーワード①「大阪」の②「憂鬱」
  ①「大阪」
    織田さんのホームタウン
  ②「憂鬱」・・・気持ちがなんか元気が出ない
       ➜タイトル。タイトル以外で5回しか出てこない。第一章にだけ見られる。
 
   1.最初のところ「大阪を(について)書くことが憂鬱」
     ・・・こんな私の書いた文章を読む読者は憂鬱でしょうね。
        でも、わたしも憂鬱なんですよ。
        こんな私に書かれる大阪も憂鬱でしょうね。       
     
    ★わたしの 疑問「なぜ大阪を書くことが憂鬱なのか??」 
             書きたくない、気が向かない➜ これは分かる!
              ➜ 具体的になぜ嫌なのか。見えてこない。
 
             ・・・いったん保留。でも、最後に分かる!
  
   2.コーヒーを飲まないと寝られないという友だち
    「睡眠剤に珈琲を使うなんて憂鬱でしょうが、
     そんな風に飲まれる珈琲も憂鬱でしょう」

    ここで、もう一つのキーワード③「コーヒー」が出てきた!

 トークの流れ&キーワード 3)5:05-9:30   

3)キーワード③「コーヒー」
コーヒー・・・嗜好品(しこうひん)、たしなむもの、趣味、味・香りを楽しむもの、   
       ×栄養がある ×体に良い 
       ×飲まなかったら死んじゃうもの (健康効果もあるみたい)
       ×寝るためのもの-〇目を覚ましたいときに飲むもの(朝・昼ごはんの後)
                ・・・カフェインが入っている。

  1.コーヒーの憂鬱ポイント?
     ・不本意(ふほんい)
      「え~、わたしってこのために生まれてきたんじゃないのに・・・」
     ・「みんなの目を覚ますぞ!」という使命(しめい)
     ・コーヒーを飲んで寝てしまう人がいる「え~、そんなつもりじゃないのに」
   ➜憂鬱になる?
    例)新しい会社に入って、思っていた業務と違う仕事ばかりさせられる
      ➜憂鬱になる「こんなつもりじゃなかった」

  2.コーヒーを飲まないと寝られないという友だち
    「コーヒーを飲まなきゃ寝られない」
    「コーヒーを飲んだら寝られない」の書き間違いではない
    ✕「飲んだら/飲めば寝られない」・・・当たり前のこと
    
    そうじゃないよ。(強調している。)

    〇「飲まなきゃ寝られない」
     ➜寝る前にコーヒーを飲むことが、
      普通のことではないという認識が織田さんの中にあることがわかる。

   ★わたしの疑問 
    「コーヒーを飲まなきゃ寝られない」が憂鬱になるのか?(ピンと来ない)

     ➜当時のコーヒーについて調べてみた。
       ・戦後のコーヒーは貴重品だった。
       ・1945年から
        本格的にコーヒーが飲めるようになったのが1950年と言われている。
       ・戦時中もコーヒーの代用品が出ていた。
          ➜コーヒーが長い間簡単に手に入るものではなかったことがわかる。
       ・織田さんが1947年に亡くなっている。 
          ➜このお友だちの話は
           本格的にコーヒーが飲めるようになる前の話だといって良い。
       ・当時のコーヒー1杯の値段
        ・・・当時の小学校の先生の初任給(しょにんきゅう)の1%
           =1杯☕2400円!21$!18€ 
 
    →寝る前に1杯2400円のコーヒーを寝るためだけに飲まなきゃいけない。 
    →憂鬱以外の何者でもない!!! 納得。
 

 ◎「したくないことをしなきゃいけない」という憂鬱。
   →三者ともに同じ憂鬱が見える。
   1・・・織田さんの憂鬱:大阪を書くこと。
   2・・・コーヒーの憂鬱:「私の使命はこれじゃないです」
   3・・・お友だちの憂鬱:1杯2400円のコーヒー
 

 トークの流れ&キーワード 4)9:30-13:25   

4)キーワード④「実用的(じつようてき)」
 1.実用的珈琲→お友だちが飲む寝る前の寝るためだけのコーヒー

   実用的(な):「実際に役に立つ」「実際に使える」という意味
    例)実用的なプレゼント(靴下)、実用的な資格(事務系の資格) 
 
    お友だち
     ・・・コーヒーを楽しんで飲んでいるのではない。寝るために役立てている。
        →実用的!
     
    【コーヒー】たしなむもの、味わうもの、楽しむもの
     -【(お友だちの)実用的コーヒー】香りを味わうもの✕ 味を楽しむもの✕
    
 2.実用的大阪
   本文
    —大阪を書くことは大阪の情緒を香りの高い珈琲を味わうごとく味わい❶ながら、
     青春を思い出すことに、楽しみも喜びもある。
    -でも、今わたしがかかなきゃいけない❷のは香りの失せた大阪だ。
   
    ❶大阪の情緒を味わった-香りの高い珈琲を味わうように 
     →大阪=コーヒー 情緒=(コーヒーの)香り
   
    ❷依頼を受けているから「(今わたしが)書かなきゃいけない」
     ×昔の大阪(青春を思い出す、楽しい、うれしい大阪) 
     ✍香りの失せた大阪(情緒がなくなった大阪)
    
    ★わたしの疑問「情緒がない街?」って、どんな街?
     【情緒(じょうちょ)】気持ちに繋(つな)がっている雰囲気(ふんいき)

     「情緒がある街」でネットで検索をかけてみた
      →HIT!埼玉県の川越、石川県金沢ひがし茶屋街、岐阜の高山(たかやま)など
         ▶共通すること
          ・・・昔の香りがする感じの/昔の雰囲気がある町・街

 ◎昔の香りがなくなった大阪を書かなきゃいけない。
   大阪には・・・昔は香りがあった。味わえた。情緒があった。
          今は香りがない。味わえない。情緒がない。
          -友だちのコーヒーと同じ!
       
     →「実用的大阪」と呼ぶ。

   

 トークの流れ&キーワード 5)6)13:25-   

5)「実用的大阪」   
 1.情緒がなくなったわけ・・・戦争?
   本文中の「大阪」を形容することば
   ・・・実用的大阪、焼けた大阪、焼けてもさすがに大阪、灰色の大阪
       +牧水(ぼくすい)の歌を引用している「滅びたものは懐かしいなぁ」
  
   ▶1945年3月~8月
    8回にわたり「大阪大空襲(だい・くうしゅう)」があった。 
              ・・・1万人以上の一般市民がなくなっている。
        当時の写真 ・・・大阪の街が焼けてしまっている。街がなくなった。
 
   ▶復興が進んでいた。
        -本文「穴地を埋めた」→新しい街ができていた。

 ◎情緒を失くしてしまった大阪、新しい大阪、香りがない・味わえない
  →書きにくい、楽しい話もないし、差し障りがあるし、書く気になれないなぁ。
  →今の大阪を書くことが憂鬱なんだ。 

6)まとめ 
 ◎大阪に対しての憂鬱—コーヒーを通して描かれていた。
 
 ◎昔の香りを失くした大阪
  ・闇市場に行くと、
   昔の香りと少しも変わらないコーヒーが飲める店がずいぶんできている。
  ・そこでは、驚くことになんでも売っている。
    ・・・実用的大阪の「実際に役に立つ」側面と考えることができる。


2.レトワル店主の感想

好き度 ★★★★☆(好き!面白い!)

  感想はここをクリック!    

文中の「でんで」の意味が分からず、誤植?タイプミス?で処理しようとしていたところ、関西人の友人から「でんで」というのは「ですよ」のような意味だと思う・・・と教えてもらいました。けっこう汚い大阪弁で使う人は少ないとのことでした。

そんな話を聞きながら、「大阪」のコーヒー文化についても話が及び、それは「高い世界」なんだと言われました。おいしいとか高級とかそういう意味の「高い」ではないそうです。カフェに行って「いつものアレ!」と注文し、コーヒーが運ばれてくることにお金を使うのが生きがいのおじいさんが今でもいっぱいいるそうです。田巻安里の「コーヒーをたしなむことをたしなむ」と同じと考えていいでしょうか。大正時代から脈々と続く、いわゆるコト消費??

友人のおじいさんは90歳で、このコロナ禍にあっても、その「いつものアレ!」をいうために京都から大阪の行きつけの喫茶店に1時間も電車に揺られ通っているそうです。話の最中、「やれやれ」と友人のため息が聞こえてくるようでした。

ウキウキおじいさんとその背中を見送る家族のため息。

違う意味での「大阪の憂鬱」が見えました。


3.たのしい クイズの 時間

1問目 筆者が大阪の話は書きにくいと思うのはなぜ?2つ答えなさい

 解答例   

1)大阪のことで書きたいような愉快な話がほとんどないから。
2)たとえあっても、さし障りがあって書けない。

2問目 この文章のテーマは何?11文字で答えなさい
 解答例   

「音に聴く大阪の闇市風景」

3問目 「私」が「憂鬱」を感じているのは、どうして?

 解答例   

まえがきしなければ、文章が書けなくなってしまったから。

★質問 あなたの考えを聞かせてください。答えは本文中にはありません。
「読者の憂鬱」とは?
「大阪の憂鬱」とは?

4問目 筆者が珈琲を飲まなければ寝られない友人に対し「憂鬱」だろうと言い、さらにその友人に飲まれる珈琲も「憂鬱」だろうと言うのはなぜか。あなたの考えを聞かせてください。 

 解答例   

カフェインを含むコーヒーはどちらかといえば目を覚ますためのものなのに、寝るためのものとして飲まなければいけなかったり、使用されるから。
※この時代はコーヒーが貴重品でコーヒー1杯は現代のおよそ2400円に相当する。

5問目 「睡眠剤に使用される珈琲」の反対の意味になることばを本文から見つけなさい。(6,7文字)

 解答例   

香り(の)高い珈琲

6問目 大阪を「実用的珈琲」に喩えているのはなぜか

 解答例   

以前は味も香りもあったが、今では香りは失せ味わえなくなったから。


4.漢字に チャレンジ!

印象に残った文章を抜き出しました!☕
漢字の練習をしたり、言い換えの文を作ったり、
先生に合わせて声に出して読みましょう!

1)私の友人に、寝る前に香り高い珈琲を飲まなければ眠れないという厄介な悪癖の持主がいる。

◎面倒くさい感じの人について言う
【どこ・グループ】に【Vない形】なければ 
【Vない形】ないという(厄介な悪癖を持つ人)がいる。

 例文   

1)大学に全員が教室に揃わなければ絶対に授業を始めないという訳の分からない先生がいる。

2)会社に機嫌がよくなければ挨拶しないという変わった人がいる。

3)親せきに外から帰ったとき服を一回全部脱がなければ家の中に入らないという潔癖症の人がいる。

2)飲む方も催眠剤に珈琲を使用するようでは、全く憂鬱だろうが、そんな風に飲まれる珈琲も恐らく憂鬱であろう

◎相対する二者の憂鬱を代弁する
【だれA(する人)】も(何する)ようでは全く憂鬱だろうが、
【だれB(される人)】も{きっと・おそらく・たぶん・間違いなく}憂鬱だろう。

 例文   

1)毎回注意しなきゃいけない先生も憂鬱だろうが、顔を合わせば注意される学生も憂鬱にちがいないだろう。

2)毎日仕事に料理に夫の世話に忙しい妻も憂鬱でしょうが、イライラしている顔の妻にぐちぐち言われる夫も憂鬱でしょう。

3)子どもも何に関してもいちいち親に口出しされるようでは全く憂鬱だろうが、良かれと思って助言しても毎回「うるせ~」と口答えされる親も憂鬱だろう。

3)一個百二十円の栗饅頭を売っている大阪の闇市場だ。十二円にしてはやすすぎると思って、買おうとしたら、一個百二十円だときかされて、胆をつぶしたという人がいる。

4)驚嘆すべきことが、応接にいとまのないくらい、目まぐるしく表情を変えて、あわただしいテンポで私たちを襲っている昨日今日、いちいち莫迦正直に驚いていた日には、明日の神経がはや覚束ないのである。

5)俗な言い方をすれば、驚いているひまもない。


参考資料

🔗全日本コーヒー協会「コーヒー歴史年表

🔗戦後昭和史「たばことコーヒー一杯の値段

2021.8

caffe for the teacher

After a pocket lesson, I sometimes take a break with teacher for a cup of coffee☕

$1.00

©2021 YOSHIDA TO NIHONGO